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時事王 代々木ゼミナール×読売中高生新聞

2024.5.2

[読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!+]

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

2024年5月3日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

トラック運転手らの労働時間の短縮によってどのような問題が生じると予想されるか、資料から読み取ろう。

【解答例】

宅配便の取扱個数は増える一方なのに対し、トラック運転手らの労働時間は短縮するので、運べる荷物の個数が減ってしまうこと。

【解説】

トラック運転手らの労働時間の短縮によってどのような問題が生じるかを答える問いです。【資料1】では勤務中の休憩時間に関する決まりの厳格化、時間外労働の上限規制、勤務と勤務の間の休息の決まりなどで、トラック運転手らの労働時間が短縮される話がされています。【資料2】ではトラック運転手らの稼働時間が短くなる一方で、宅配便の取扱個数が増加の一途をたどっており、将来的には運べなくなる荷物が生まれる話がされています。よって、【資料1】【資料2】の話を組み合わせると、宅配便の取扱個数は増える一方なのに対し、トラック運転手らの労働時間は短縮するので、運べる荷物の個数が減ってしまうという問題が生じるということが分かります。

【問2】

問1のような問題があるにもかかわらず、政府が「働き方改革関連法」でトラック運転手らの残業を規制したのはなぜだろうか、自分で考えてみよう。

【解答例】

・トラック運転手らの過酷な労働環境を改善するため。

・過酷な労働環境による働き手不足を解消するため。

【解説】

問題があるにもかかわらず、政府が「働き方改革関連法」でトラック運転手らの残業を規制した理由を考える問いです。「働き方改革関連法」という名前の通り、この規制はトラック運転手らの働き方を変える目的で行われました。物流業界は、若手不足と高齢化による労働力不足の中、宅配便の取扱個数は増え、長時間労働が慢性化し、過酷な労働環境によりさらに働き手が減るという悪循環に陥っていました。政府は、トラック運転手らの過酷な労働環境を改善し、働き手不足を解消するために今回の規制を行ったのです。記事ではあまり触れられていませんでしたが、規制にはこのような背景があるということも知っておきましょう。ほかにも、バス・タクシー運転手、建設業、医師にも、2024年4月から時間外労働の上限規制が設けられます。どれも長時間労働が問題となっている業種です。このような業種では、働き手の長時間労働の上に私たちの生活が成り立っていたので、時間外労働の上限規制は私たちの生活にも影響が出てくるかと思います。しかし、それは長時間労働の是正という正当な政策から生まれる影響なので、私たちもそれらの変化を受け入れ、一緒に対策をしなければなりません。

【問3】

問1の問題に対して私たちができる対策は何か、自分で考えてみよう。

【解答例】

・なるべくまとめ買いをして、配送回数が少なくなるようにする。

・到着を急いでいない荷物は、最短の商品到着日より遅い配達を選択する。

・置き配や宅配ロッカー、コンビニ受け取りを利用する。

・配送サービスの中で、あらかじめ、受け取り可能な日時を設定しておく。

【解説】

問2では問題の背景を考えましたが、問3では問題の対策を考える問いになっています。私たちにできることとして、まずは依頼する宅配物の数を減らすことが思いつきますが、様々な事情から宅配物を頼まなければならないこともあるでしょう。そこで、?なるべくまとめ買いをして、配送回数が少なくなるようにする、?到着を急いでいない荷物は、最短の商品到着日より遅い配達を選択する、?確実に受け取れるように、置き配や宅配ロッカー、コンビニ受け取りを利用する、?配送サービスの中で、あらかじめ、受け取り可能な日時を設定しておく、などの対策が考えられます。もし、私たちが何も対策を行わなければ、【資料2】にもあった通り、荷物が運ばれなくなる可能性や、運ばれたとしても送料がとても高くなることも考えられます。宅配物を頼むときも、それを運んでくれている人のことを考えられると、自分たちの今後のためにも、配送員の方のためにもなると思います。
また、ここでは取り扱いませんでしたが、物流業界としても対策を行っています。読売中高生新聞の3月15日号でも紹介されていますが、「ダブル連結トラック」というトラックのコンテナを連結し、一度に2台分の荷物を運べるようにしたものを使用したり、長距離輸送を1人の運転手が行うのではなく、中継地点を設け、何人かで分担する「中間輸送」という輸送方式を採用したりしています。さらに、トラック以外の、鉄道や船、飛行機、ドローン等を利用して輸送したりもしています。また、今後、AIを搭載したロボットを使って荷物の積み上げを行ったり、デジタルツールを導入して、業務の効率化を進めたりするといった対策も考えられています。例えば、ドライバーの拘束時間が長くなる原因の一つとして、荷物の積み下ろしの際に荷主や物流施設の都合によってドライバーが待機している「荷待ち時間」が問題視されてきました。この問題への対応として、トラック予約受付システムの導入が考えられます。予約受付システムを使用することで、トラックの到着時間が事前に予測可能となり、それに応じて荷積みや荷卸しの準備を効率的に行うことができます。さらに、トラックの到着時刻が分散され、ドライバーが荷物の積み下ろしを待つ時間が大きく減少するでしょう。このように、デジタルツールを使うということも今後大事になってくると考えられます。

B面の解答ポイント

【問題1】の問1について

正解は九州新幹線です。
1964年に初めての新幹線である東海道新幹線(東京-新大阪)が開通した後、山陽新幹線、東北新幹線、上越新幹線などの建設が進みました。1973年、政府が法律に基づき計画を決定した「整備新幹線」は、北陸新幹線以外にも九州新幹線などがあります。九州新幹線は2004年、熊本県の新(しん)八代(やつしろ)から鹿児島中央まで、2011年、福岡県の博(はか)多(た)から新八代までが開通し全通となりました。現在は九州新幹線と山陽新幹線が相互に乗り入れ、新大阪から博多や熊本を経由して、鹿児島中央までの直通列車が運行されています。

【問題1】の問2について

正解は金沢です。
金沢は石川県南部に位置し、石川県の県庁所在地としてだけではなく北陸地方の中心都市としても発展しています。かつては百万石の領地があった前(まえ)田(だ)家の城下町で独自の伝統文化が発達し、日本三名園の一つ、兼六(けんろく)園(えん)などの観光名所があります。2015年、北陸新幹線が長野から金沢まで延伸され、東京までの所要時間が短縮されたことで観光客が増加するなど大きな経済効果がありました。

【問題1】の問3について

正解はDの若狭(わかさ)湾です。
若狭湾は福井県と京都府が面する日本海側の湾で、2024年3月16日より北陸新幹線の終点となった敦賀(つるが)は若狭湾の東側に面した港町です。若狭とは福井県西部の旧国名です。若狭湾沿いは複雑なリアス海岸が発達し,福井県側には複数の原子力発電所が立地しています。北陸新幹線は今後、敦賀から京都を経由して新大阪までの延伸が計画されています。
Aの諏訪(すわ)湖は長野県中央部にある湖です。Bの志摩(しま)半島は三重県にあるリアス海岸が発達した半島です。Cの濃尾(のうび)平野は愛知県と岐阜県に広がる平野です。

【問題1】の問4について

正解は紫式部です。
紫式部は平安時代の10世紀後半に京都の貴族、藤原(ふじわら)為(のため)時(とき)の娘として生まれ、本名は不明です。父の為時が996年、越前(えちぜん)の国司となったことで、一時期越前に住んでいたとされています。京都に戻り結婚し娘を産むも夫が先に亡くなり,この時代では他に例を見ない長編小説の『源氏物語』を書き始めました。紫式部はその文才を左(さ)大臣(だいじん)の藤原道長に認められ、1005年ごろから道長の娘である天皇のきさきに仕えました。かつて越前の国府(役所)があったとされ、2024年3月16日に北陸新幹線の越前たけふ駅が開業した越前市には「紫式部公園」があります。

【問題2】の問1について

家、学校、会社といった比較的小規模な組織の内部において、いくつかのコンピュータを接続することで構成されるネットワークのことをLANといいます。LANは「Local Area Network」の頭文字を取った言葉です。
LANを構成するには、専用のLANケーブルで各機器を接続する方法と、「アクセスポイント」と呼ばれる装置から電波を送受信して各機器を接続する方法が主流です。後者の方法で構成されるLANはよく「無線LAN」と呼ばれます。
また、離れた場所にあるLAN同士を接続してできるネットワークのことをWAN(Wide Area Network)といいます。皆さんはこのページを見るために「インターネット」を利用していると思いますが、このインターネットも、世界中にあるコンピュータやLANをつないだ、世界規模のWANといえます。

【問題2】の問2について

ランサムウェア(ransomware)は、「身代金」を意味する英単語「ransom」と、「software」を組み合わせた言葉です。
ネットワーク上で通信されている情報は基本的に、第三者に内容を見られないように暗号化されて送受信されています。暗号化された情報は、「鍵」を使って復号(詳細は問3の解説をご覧ください)しないとその内容を読み取ることが困難という性質があります。
ランサムウェアを用いたサイバー攻撃ではこの性質を悪用しており、他人の情報を意図的に暗号化することで利用できない状態にし、復号のために対価(身代金)を払うよう要求するというのが基本的な手口です。近年ではそれに加えて、コンピュータシステムに侵入した際に情報を盗み取り、それを外部に流出させると脅して二重に身代金を要求するという事例も出てきています。
記事にもある通り、ランサムウェアによる被害は国内外の様々な企業や団体に及んでいます。日本でも、自動車メーカー、大学、病院などが標的に遭い、業務が停止したり個人情報が流出したりする事件が発生しています。
その他の選択肢の意味は以下の通りです。
「トロイの木馬」…無害なソフトウェアを装って利用者にインストールしてもらい、侵入したコンピュータ内で不正な操作を行うソフトウェア
「フィッシング」…本物そっくりのウェブサイトに利用者を誘導し、そのウェブサイトでパスワードなどを入力させることで個人情報を盗み取る詐欺の手法
「ワンクリック詐欺」…ウェブサイトや電子メールに付けられたURLをクリックしただけで契約が成立したと主張し、高額な料金の支払いを迫る詐欺の手法

【問題2】の問3について

ネットワークを通じて離れた他人に情報を送るとき、通信路の途中では、その情報を盗み見たり、内容を書き換えたりしようと企む人もいます。そのため、もしメッセージを暗号化せず元の文章のまま(これを「平文(ひらぶん)」といいます)送信すると、その内容が第三者に盗み見られ、情報漏洩などにつながる危険性があります。
このようなことを防ぐために、平文は、第三者に見られても内容が分からないように変換して送受信する必要があります。この操作を「暗号化」といい、暗号化によって変換された平文のことを「暗号文」といいます。そして受信者に届いた暗号文は、その後平文に直すことで内容を読み取ることができます。この平文に直す操作を「復号(ふくごう)」といいます。
暗号化の方式は、暗号化と復号に同じ規則や情報(これを「鍵」といいます)を使う「共通鍵暗号方式」と、暗号化と復号で異なる鍵を使う「公開鍵暗号方式」の大きく二つに分類されます。

【問題2】の問4について

問題文にもある通り、ランサムウェアは他人のコンピュータに侵入し、コンピュータ内の情報を利用できないようにします。そのため、重要な情報はハードディスクなど外部の記憶装置に保存(バックアップ)しておくことで、ランサムウェアによって情報が利用できなくなったとしても、外部の記憶装置に保存していたものを利用することで、再びその情報を使うことができます。
その他の選択肢が不適切な理由は以下の通りです。
「ログインするためのパスワードを、複数のコンピュータで統一させる」
…複数のコンピュータで同じパスワードを使いまわすと、あるコンピュータで使われているパスワードが漏洩したとき、芋づる式に他のコンピュータにも侵入できるようになってしまいます。
パスワードは極力長く推測されにくいものにし、コンピュータごとに異なるものにすることが大切です。
「ウイルス対策ソフトのアップデートが発表されたとしても、むやみに更新しない」
…送信元が分からないソフトウェアはむやみにインストールするべきではありません。しかし適切な会社から提供されているウイルス対策ソフトウェアは、日々変容するコンピュータウイルスに対抗するために、定期的にソフトウェアのアップデートが行われています。
そのため、このようなウイルス対策ソフトウェアに関しては、アップデートが発表されたらできるだけ早く更新し、コンピュータを万全の状態に保っておくことが大切です。
「より高性能なCPUを搭載したパソコンに買い替える」
…CPU(中央処理装置)は、コンピュータ内の各装置に命令を送る「制御装置」と、コンピュータ内でデータの計算を行う「演算装置」を合わせた装置のことです。CPUの性能がコンピュータ全体の性能を左右するため、コンピュータの頭脳ともいえる重要な存在です。
しかし現在使われている暗号化方式は、復号のための鍵が無い状態では、スーパーコンピュータを用いて何万年もかけて計算を行わないと復号できないぐらい複雑な理論・技術が用いられています。そのためどれだけ性能の良いCPUが備わっていたとしても、ランサムウェアによって暗号化された情報は、鍵が無い状態で復号することはほぼ不可能です。

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2024年4月5日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

なぜ日本に花粉症の原因となるスギやヒノキ林が多くなったのか。またなぜ山林の少ない都会でも花粉症が発症、症状が深刻化するのか。文章を要約してみよう。

【解答例】

第二次世界大戦後の復興や高度経済成長で多くの木造資材が必要となり、成長が早く建築に使いやすいスギやヒノキが各地で組織的に植林されたことで増えた。都会では地面の大部分がアスファルトなので、土よりも花粉が舞い上がりやすくなるうえ、そこに汚染物質が付着して、さらにひどいアレルギー症状を引き起こす。

【解説】

読み手を意識して必要な情報をまとめ、資料後半の部分を自分なりの文章に言い換えてみましょう。戦争からの復興が、現在に至るまで意外な分野に影響を及ぼしているということを念頭に置いて世の中を見渡してみると、また違った景色が見えてくるのではないでしょうか。スギやヒノキは、植林後に安価な海外木材の輸入が増加して国産材の需要が減り、伐採されず放置されたという事情もあります。

【問2】

花粉症の原因は植物だが、歴史をたどれば人災であるとも言える。これまで、スギ花粉と同じようなパターンで引き起こされた社会規模での予想外のトラブルなどについて、どのような事例があったか考えてみよう。また、これから数十年後に、同様に社会規模でのトラブルを引き起こすかもしれない事例や、引き起こしつつあると考えられる事例があれば書いてみよう。

【解答例A】

(過去の事例)戦後の食糧難を打開するため、ブラックバスやアメリカザリガニ、ジャンボタニシ、ウシガエルなどが食用目的で海外から持ち込まれたが、それらの生物が持て余されて野生化し、日本固有の生態系を破壊したり、農業を阻害したりするようになっている。

【解答例B】

(将来の事例)エネルギー問題解決のため設置が推奨されてきた太陽光パネルであるが、その耐久性の弱さ、火災時の消火が困難である点などの問題が指摘されるようになってきている。今後は太陽光パネル付きの空き家が放置され、撤去費用や火災などの問題により、社会全体が不利益を被るかもしれない。

【Aの解説】

明治以降に人やモノの動きが活発になったことで、外来生物と在来種が混ざり合い、今日のような事態に至っています。2018年には、千葉県などが開催した環境イベントにて、カミツキガメを食材としたスープが振舞われ「おいしい」と話題になりました。他にも、北海道でかつては駆除対象でしかなかったウチダザリガニがレイクロブスターという名前で出荷され、今では人気食材となるなど、外来種を食べて減らそうという斬新な取り組みも見られるようになっています。

【Bの解説】

日本社会は、このままだと空き家が増加する見込みです。太陽光パネルによって引き起こされた火災は、消防隊員が感電するおそれがあり、消火が困難であることがわかっています。このペースで太陽光パネル付きの家が増えると、より危険な空き家の処理を未来世代に残すことになります。2023年現在、東京都は太陽光パネルの設置に助成金を払っていますが、設置や廃棄に伴う環境破壊も含め、慎重な計画が必要です。

【問3】

植林と花粉症の事例のように、ある時点で行われた組織的な活動が、未来世代に対して予想もつかない負の影響を及ぼす場合がある。問2で考えたこともふまえながら、何かある具体的な事柄をめぐり未来世代のためにどのような配慮をしていくべきか、あなたの考えを自由に書いてみよう。

【解答例】

現代では社会全体でデジタル化が推進され、教育現場でも活用が促されているが、そうした状況も背景として、中高生の多くがスマホ依存症に陥っていることが問題視されている。これに伴って、記憶力・集中力の低下や健忘など、「スマホ認知症」という症状が見られるという指摘も出ているようだ。集中力を要する人の作業によって支えられている社会が、そのような状況下で、将来的にどのように変わっていくのかを考えてみる必要がある。いずれ「スマホ依存症・認知症」が花粉症と同じような国民病となり、治療が広く行われるような未来が到来するかもしれない。教育現場に限らず、日常生活の様々な場面でスマホなどデジタル機器を活用せざるを得なくなっているという流れには、ある程度歯止めをかけておくべきなのではないだろうか。

【解説】

解答例ではスマホ依存の話題を出しましたが、こと生態系や大気の状態などが関わる問題をめぐっての人間の活動は、時間差で自らの首を絞める結果になることが少なくありません。例えば、「生態系」という概念は1970年代以降に登場しましたが、その概念によって示されている事柄は、本当はずっと前からそこにあったものです。科学技術が発達して、従来まで当たり前であった大切な何かが破壊されてしまってから、初めてそれが意識されるということもあります。20世紀以降、急速に発達した科学技術ですが、進み続けるだけが人類のためになるとは限りません。過去か


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