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時事王(2021年) 代々木ゼミナール×読売中高生新聞

[読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!+]

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

2021年12月3日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

【資料1】の下線部からは、刑法にある侮辱罪の条文は、110年以上、ほとんど変わってこなかったことが分かる。それが、今の時代に改正されるのはなぜなのだろうか。
【資料1】から読み取れる社会の変化も念頭に置きながら、まとめてみよう。

【解答例】
かつて誹謗中傷は、多くの場合、口コミなどが届く狭い範囲の人々にしか伝わらなかったはずだ。ところが、現代ではインターネット上に書き込まれた誹謗中傷が、世界中の誰の目にも瞬時にさらされるようになっている。
しかも、匿名での書き込みが可能であることにより、過激な内容の中傷を手軽に発信できるようにもなった。
こうしたことで、「侮辱」をめぐる法改正が、今の時代に必要になったのだろう。

【解説】
日常生活で当たり前にスマートフォンを使用している皆さんの世代では、インターネットやスマートフォン(携帯電話)が存在していなかった少し前の時代のことを、想像することすら難しいかも知れません。
110年以上前と言えば、インターネットはおろか、テレビやラジオすらなかった時代です。そうした時代の暮らしについて想像をめぐらし、現代との違いを確認することは、受験でも大いに必要とされる「思考力」を養う一助になることと思います。

【問2】

専門家の間では「インターネット上での誹謗中傷をターゲットにした侮辱罪の厳罰化には、もっと慎重になるべきだ」という意見も存在する。
なぜそのような意見が出るのだろうか。「表現の自由」をキーワードとして、考えてみよう。

【解答例】
厳罰化が行き過ぎると、自由に各人の意見を表明する機会が奪われ、「表現の自由」が萎縮してしまうおそれがあるから。
また、たとえ事実に基づいた正当な指摘や、社会的に有用な指摘であっても、摘発をおそれて書き込みを控える者が増加するだろうと考えられるから。

【解説】
読売新聞2021年10月20日朝刊の9面にある「解説」記事には、今回の侮辱罪厳罰化というテーマをめぐっての、法制審議会(法相の諮問機関)での議論も紹介されています。
弁護士の委員からは「政治家や公務員への批判もしにくくなる」といった意見が出ており、また検察や警察の委員からは「これまでも論評や表現活動の正当性などを考慮して犯罪の成否を判断しており、それは法定刑が引き上げられても変わらない」といった意見が出ています。

【問3】

あなたは、インターネット上におけるどのような書き込みであれば侮辱罪に問うべきで、どのような書き込みであれば問うべきではないと考えるか。
その基準や境界について、自分の考えをまとめてみよう。

【解答例】
まず、インターネット上の書き込みはあくまで文字である以上、よほど悪質でなければ罪に問われるべきではない。文字には抑揚が伴わないので、普段の会話におけるような冗談として打ち込んだ書き込みが、そのニュアンスを失ってしまうこともあるためだ。
その上で、例えば侮辱が個人への不当な攻撃の域にまで達しているような書き込みや、また執拗に繰り返すことで物理的な危害すら連想させるような書き込みなどは、積極的に摘発して構わないと思う。

【解説】
少し細かい話になりますが、刑法上は、「侮辱罪」「名誉毀損罪」「脅迫罪」「強要罪」などは区別されています。
「侮辱罪」に該当する条文は第二百三十一条で、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」となっています(今回の法改正で、「拘留又は科料」の部分に懲役・禁錮・罰金の規定が追加される見通し)。
条文中に「公然と人を侮辱した」とありますが、インターネットやSNSなどの普及により、従来よりもはるかに「公然と」、侮辱的なものも含む様々な意見が人の目に触れやすくなってしまっていると考えられます。
侮辱罪の「基準」や「境界」は、こうした社会の変化も冷静に視野に入れながら、今後も調整されていくことになるはずです。

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

TPPとは「環太平洋経済連携協定(環太平洋パートナーシップ協定)」の略称で、これのもとになる協定は、2005年に4か国が署名することでスタートしました。その後、議論が広がることで日本も参加を決めるようになり、2016年に12か国がTPPに署名しました(ただしアメリカは後に離脱)。
TPPは自動車など物品の関税の撤廃を目指すだけでなく、サービスや投資の自由化など幅広い分野にわたる協定です。日本はTPPを含めて21の国、地域と経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)を結んでおり(2021年10月時点)、貿易や投資の自由化など、世界各国・地域との間で幅広い経済関係の強化を図っています。

【問題1】の問2について

上述のように、2016年に一度12か国で署名されたTPPですが、2017年(トランプ大統領の時代)にアメリカが離脱しました。そのためアメリカなしで条約が発効できるよう再度議論がし直され、2018年、新たな条約に11か国が署名し発効となりました。このアメリカ抜きでのTPPは、TPP11もしくはCPTPPと呼ばれます。
RCEPは「地域的な包括的経済連携協定」の略称で、2012年に交渉が開始され、2020年11月15日に調印されました。参加国には日本、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジアのASEAN諸国(カンボジア、シンガポール、タイ、ラオス、ベトナムなど)、そして中国と韓国が名を連ねています。
特に中国が加わっていることに大きな意味があり、中国は約14億の人口、世界第2位のGDP(国内総生産)と経済規模が大きく、近年は輸出、輸入額ともに日本の最大貿易相手国です。2022年1月1日から要件を満たした10か国で発効されるRCEPにより、加盟国間の経済交流と発展が期待されています。

【問題2】の問1について

阿蘇山は九州地方の中央部、熊本県阿蘇地方にあり、中岳だけでも複数の噴火口があるなど日本でも規模の大きな火山として知られています。噴火活動によって形成されたカルデラと呼ばれる巨大なくぼ地が広がり、外輪山に囲われたカルデラの内部には多数の人々が生活しています。
近年、付近を震源として2016年4月に発生した熊本地震(最大マグニチュード7.3)の影響で、小規模な噴火が観測されるなどしていました。

【問題2】の問2について

火山の噴火は地震などの自然災害と同様、より正確な予測・予知の実現を目的としながら様々に研究されていますが、的確に噴火の時期を当てることは困難とされています。
噴火の前兆としては、噴火の原因となるマグマが地下数kmあまりのマグマだまりに集まり、地震や微動を起こすことがあります。また地下水の温度上昇や火山ガスの成分の変化なども前兆となります。
しかし、噴火口付近の地下水が原因と思われる水蒸気爆発は、地下水などの水分が蒸発すると一瞬にして約1700倍の体積となるため予測が難しいのです。

【問題2】の問3について

火山が噴火した際、火山灰や火山ガスなどが一体となって斜面を流れ下る火砕流は1000℃を超えることもあるほど高温で、かつ時速も時に100km以上になるなど高速なため、短時間で広い範囲にまで到達し、周囲に甚大な被害をもたらします。記事にある2014年の御嶽山の噴火でも火砕流が発生していました。
なお、今回の噴火で阿蘇山から噴き上がった火山灰は、東側の大分県や宮崎県の一部にまで降り積もったことが確認されています。

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2021年11月5日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

社会のデジタル化推進のためにこれまで国が導入した制度には、どのようなものがあるだろうか。【資料1】を参考に、制度の名称をあげながら、その内容を説明してみよう。

【解答例】
住民一人ひとりに12桁の番号を割り当て、その番号と、住所や生年月日、納めた税金の額といった個人情報を結び付けて一元的に管理する、マイナンバー制度。

【解説】
住民一人ひとりに12桁の番号を割り当てるマイナンバー制度は、2016年1月から行政手続きにおける運用が始まりました。個人に割り当てられた番号は基本的に変わることがなく、マイナンバー制度によって様々な情報を一元的に管理することで、行政サービスの効率化が期待できます。デジタル庁の発足にともない、マイナンバー制度の所管もデジタル庁となりました。
また、各人の申請により、顔写真のついたマイナンバーカードを取得することができます。このカードは本人確認書類として利用できるほか、2021年10月からは、システムを導入した病院や薬局において、健康保険証として利用できるようにもなりました。

【問2】

【資料2】では、個々人のプライバシーを保護することの重要性が指摘されている。個人情報はどのような場面で流出しうると考えられるか、また、そのような個人情報の流出を防ぐためには、どのようなことに気をつければよいだろうか。あなたの考えたことをまとめてみよう。

【解答例】
たとえばSNSに家の近くのお店などで撮った写真を投稿すると、周囲の景色などから撮影場所が特定され、住所という個人情報の流出につながるおそれがある。
これを防ぐためには、SNSの公開範囲を限定するとともに、写真を投稿するときには、映り込んでいる景色にも注意を払う必要があるだろう。

【解説】
中高生の多くのみなさんがインターネットを日々利用していることと思いますが、個人情報の取り扱いには細心の注意を払いたいものです。【解答例】では、SNSへの気軽な写真投稿の問題点を指摘しました。最近ではスマートフォン付属のカメラの性能が向上し、周囲の看板や電柱の文字まで読み取れてしまうことがあります。SNSに写真を投稿する際には、その写真を広く一般に公開しても大丈夫かどうか、個人情報につながるものが映り込んでいないかどうか、注意しておく必要があります。
このほか、個人情報が流出するおそれのある場面としては、悪意のあるアプリをダウンロードする際に個人情報を入力してしまった、IDがロックされたという偽メール記載のリンク先で個人情報を入力してしまった、悪意のあるWi-Fiスポットを利用したことで通信内容が盗み取られてしまった、などといった事例が考えられます。

【問3】

【資料2】では、デジタル格差の問題についても指摘されている。デジタルを「使えない人」とは、たとえばどのような境遇にある人々だろうか。また、そのような人々に対して、どのような支援が可能だろうか。あなたの考えたことをまとめてみよう。

【解答例】
スマートフォンなど情報機器の操作に慣れていない高齢者。地元の自治体が主導して、近くの公民館などで操作方法についての講習会を開く。また、すぐに相談できるように、高齢者にもなじみのある電話での相談窓口も開設しておく。

【解説】
インターネットなどの情報技術を活用できるかできないかによって生じる格差は、デジタル格差(デジタルデバイド)と呼ばれています。特に高齢者は、スマートフォンの保有率も低く、情報収集にインターネットを活用できていない人も少なからず見受けられます。
こうした状況を解消するためには、まずスマートフォンを持ってもらうことが重要です。たとえば、東京都渋谷区では2021年9月から、65歳以上の高齢者を対象に、スマートフォンを2年間無料で貸与するという取り組みをスタートさせています。ただ貸与するだけではなく、対象者向けに操作方法を教える講習会を開催したり、コールセンターを設けたりして、スマートフォンの活用を積極的に支援しています。
また、日頃からインターネットを身近なものとして利用している中高生のみなさんが、苦手意識を持っている高齢者の方々に対してスマートフォンの使い方を教えることも、デジタル格差の解消につながる有効な支援となるでしょう。

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

岸田文雄首相は自身の強みを、「聞く力」にあるとしています。
長期に及んだ安倍政権のもとでは4年以上にわたり外務大臣を務め上げ、続く菅政権では役職に就かなかったものの、2021年9月に自由民主党内部で行われた総裁選挙に勝利することで、そのまま首相の座に就きました。
一見、エリートコースを歩んできた人のようにも見えますが、大学受験に3年連続で失敗し、東京大学への進学を諦めるなど、挫折も経験してきているようです。

【問題1】の問2について

初代の内閣総理大臣は伊藤博文で、大隈重信は5人目の首相経験者となります。
1868年(明治元年)は従来の江戸幕府に代わり、新たに明治政府が誕生した年ですが、この時にはまだ、内閣制度は出来ていません。
伊藤博文が初代内閣総理大臣になるのは1885年(明治18年)です。ただし大日本帝国憲法(明治憲法)の施行はそれよりも遅い1890年(明治23年)なので、憲法制定よりも早い段階で、内閣制度が存在していたことになります。

【問題2】の問1について

「万博」は「万国博覧会」の略称であり、歴史の教科書にも記載されています。「国際博覧会」とも呼ばれます。
戦後の日本で開催された万博では、1970年の「大阪万博」、2005年の「愛知万博(愛・地球博)」が、大規模であり有名です。

【問題2】の問2について

前後の文脈を踏まえて考える読解問題でしたが、正解できたでしょうか。
記事ではドバイ万博は2500万人という、「強気」で「異例」の集客目標を掲げているとされています。選択肢AやCの記述ではなく、Bにある、同じコロナ下で行われた国際的な大イベントである東京五輪・パラリンピックが「ほぼ無観客」だったという記述と対比することで、はじめて2500万人というドバイ万博の集客目標が、「強気」であり、「異例」でもあるという表現と繋がることになります。

【問題2】の問3について

イベントを開催するに当たっての「集客」と「感染対策」は、通常、どちらか一方を立てればもう一方が立たなくなってしまうという、ジレンマの関係にあると考えることができます。東京五輪・パラリンピックでは「感染対策」を優先して「集客」を断念するという、厳しい判断がなされました。

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2021年10月1日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

【資料1】のイッサ選手は移民の子だったが高校生になる頃、難民としてギリシャで受け入れられた。
この事例について、あなたはどう考えるだろうか。重要なポイントだと思ったことをまとめてみよう。

【解答例】
ギリシャの難民受入れによって、アリアさんを励ましていた父の死と故国シリアの激しい内戦とで進退窮まりかけていた母娘は救われた。そうして生活が安定し、アリアさんは障害者の通う高校で差別から解放され、スポーツと出会ったことで人生の支えや自己実現の道を得た。
いまアリアさんは、難民や障害者にとって目標となりうるロールモデルを社会に示しているのだろう。

【解説】
アリアさん母娘が難民申請したのは「20歳-16歳」で4年前という計算になります。そのさらに2年前である2015年は、シリア・イラク・アフガニスタンを中心に130万人という膨大な数の難民がEU(欧州連合)加盟国に難民申請を行って「難民危機」と呼ばれた年でした。2011年に始まったシリア内戦は今も反政府武装勢力が残るほどで、2017年にシリアに帰還するという選択肢はありえなかったでしょう。
しかしギリシャも、2009年に始まった財政危機とその後の緊縮財政のため、若年層の失業率が50%という経済状態でした。その一方、EU主導の改革が行われたようで、医療など生活インフラは先進国の水準を保ちました。アリアさん一家のギリシャでの生活は厳しかったはずですが、難民申請で求めた政府の庇護を得て、安定したのでしょう。
そしてアリアさんは、「障害者の通う高校」(日本の特別支援学校高等部に相当?)で幼少期以来の差別から解放され、スポーツに親しむ機会を得て、自らの才を伸ばしていくことになりました。アリアさんは、生まれた国ギリシャに住み続けながら難民になるという特殊例を体現しつつ、障害者にとって目標となりうるロールモデル(手本)を提供するという社会貢献を行っているのです。

【問2】

【資料2】のタン・スエさんの記事によると、日本の難民認定は厳しい。それはなぜだと考えられるか。
また、今後のあり方について、あなたの考えたことをまとめてみよう。

【解答例】
記事中の「『日本で働きたいだけではないのか』と疑われることもあった」という部分から、難民認定が厳しい理由がうかがえる。アメリカのような移民国家とは反対に、外国人の日本への移住を極力防ごうとしているのではないか。今後は、日本の人口減少を補うために移民を受け入れるようになり、難民認定を厳しくする理由がなくなると予想できる。

【解説】
「外国人お断り」のアパートが多いように(国籍を理由に賃貸借契約を拒否することは違法です)、自己主張ではなく互いに慮ることがコミュニケーションの基本にあるこの日本では、外国人との日常的な付き合いを敬遠する人が多数派なのでしょう(アメリカでもトランプ政権では移民を制限する動きが強まりました)。
ところが現在では、保守政党である自民党の中にも、人口減少による国力衰退を防ぐため移民を受け入れようという意見が広がりつつあります。身の危険から逃れてきた難民と就労・生活向上を求めてきた移民とを同一視はできませんが、「外国人お断り」でなくなれば、ことさらに厳しい難民認定を続ける理由もなくなると考えられます。
問2ではこういった消極的な面を考えましたが、その一方で、「困ったときはお互い様」という日本語があります。そうしたレベルからでも、難民を日本に受け入れる積極的な意味を考えてみましょう。
なお、ネット上の東大新聞オンラインの記事「『リトルヤンゴン』を学ぶ ディープでおいしい高田馬場のミャンマー料理店の数々」にタン・スエさんが紹介されていて、彼が20代後半でミャンマーの大学教員だったことが分かりました。読むと理解が深まりますよ。

【問3】

古代史から現代史までを振り返ったときに、身の危険から逃れるため日本に来た人々、または日本から脱出した人々について、あなたが知っている事例を挙げてみて、そこで考えたことをまとめてみよう。

【解答例】
身の危険から逃れるため日本から脱出した人々の事例は、鎖国時に追放された人々や現代の逃亡犯といった難民とは言えない事例しか思いつかない。日本に来た人々としては、古代の百済滅亡による渡来人や1980年前後のインドシナ難民などといった事例がある。民主国家でない場合、旧政権の崩壊が難民を生みやすいと言えそうだ。

【解説】
ベトナム戦争の敗北により、アメリカ側だった旧南ベトナムが1975年に崩壊し、代わって社会主義の旧北ベトナムが南北を統一(1976年)しました。ラオス、カンボジアも同時期に社会主義国となり、これらインドシナ三国の社会主義体制から逃れたインドシナ難民は総数144万人と言われています。
日本は1%弱の1.1万人を受け入れ、記録が残る中では最多の難民受入れでした。さらに、人数は不明ですが、第


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