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でもいいですよ。でも、ちょっと新聞読むとか、その程度の軽い英語に触れるのでも、実際には相当の英語力が必要です。ましてや、洋本とか論文みたいなもんを読もうとすると、相当な英語使いじゃないとダメ。だって、ちょっとした小説読むのに、TOEICスコアで800とか必要だったりするもんね。

少なくても、ゼミで生き残ることを考えると、NHKの英会話講座で言えば、「ビジネス英会話」が理解できるくらいでないと、ダメです。

ただまあ、私たち、ジャパニーズピープルに本当に必要なのは、英語を喋れることではなくて、書かれているものをちゃんと読みこなしたり、言われていることをちゃんと理解できる能力のほうですので、そういう「外国人としての英語実践力」を身についてればよいです。インターネットに転がってる英語が読めるようであれば、全然楽勝。普通に接する英語ってのは、これにちょっと専門用語とか、知識とかが必要になるくらいです。そうですね、受験英語がある程度できれば、私としては、大丈夫だと思う。

ということで、ゼミは発表もそうだし、議論もそうだし、英語もそうだけど、実践的にかなり鍛えられる場です。

ちなみに。ゼミのメンバーってのは、結構長いお付き合いになって、仲良くなることが多いです。合宿だの、ゼミ旅行だのといったことが行われたりすることも結構あるし、そうじゃなくても、一緒にいる時間が長い。この場の人間関係、すごい大事。

ということで、講義をただ聞いてるのとは全然違うものがゼミにはありますので、参加して楽しむとよいと思います。


[研究]

臨床とかそっちのほうはよくわからないのですが、少なくても、知覚とか認知とか、そっちのほうの心理学を専攻すると、ほぼ必修になる可能性が高いのが、卒業研究(略して、卒研)です。

卒研では、大学4年の1年(といいつつ、正確には8ヶ月ちょい)をかけて、研究活動を行って、一本の論文を仕上げます。ちなみに、必修の場合、これを落とすと、講義だ、ゼミだでちゃんと単位が取れてても、留年決定になります。

さて、ここで根本的問題。研究って、一体どういうものを言うんでしょう? 大辞林を引いてみても、「物事について深く考えたり調べたりして真理を明らかにすること。」とかあいまいだったんで、googleで「define:research」として探してみた。そしたら、こう出た。

systematic investigation to establish facts(事実を新しく作り出すための体系化された検討法)

そうなのです。大学でやる研究ってのは、まだ誰も気づいていない、知らないことをやって、そこからなんか新しい知識を作り出そうっていう、まあ、いわば、「トリビアの種」みたいなのが、研究なのです。

既に本とかで示されているものは、それを検証しなおすなら、研究になりますが、それをただトレース(trace. 形跡をなぞる)するだけでは、研究にはなりません。人のネタをパクったりとか、そんなのももちろん研究にはならない。どんな研究でも、その人が独自に考えたなんかが入ってないと、研究とは言えないわけです。

具体的な話に移しましょう。卒研は普通、ゼミと連携していますので、多くの場合、入ったゼミの指導教員が研究指導も担当することになります(実際の面倒は、ドクターコース(大学院後期博士課程)の院生が担当。指導教員は大事なときに登場)。形としては、研究室に配属されて、そこでやるということになりますね。

卒論(卒業論文)の締め切りはだいたい12月から1月、2月の間。3年の後期から取り組んだとして、その期間は1年です。これ、長いように思えるかもしれないけど、全然そんなことない。逆に、短いくらい。そもそも研究には多くのステップがあります。それを乗り越えようと思うと、1年なんて、短い。

ステップを順に追ってみましょう。

まず第一に、課題の設定。つまり、取り上げる問題、研究テーマを決める。研究室への配属が決まった段階で、ある程度やる分野は絞られているでしょうから、そこから、自分に出来そうなものを考えることになります。

大学生が出来る研究ってのは、お金もないし、すごいアイディアもそうは浮かばないし、あったところで、大体は出来ないしってことで、身分相応な、比較的こじんまりとしたものになるのが普通です。指導教員から与えられた課題に取り組むということも結構多い。どちらにしろ、あまりあれこれやろうとすると、うまくいかないことが多いので、注意です。

課題が決まったら、その課題に関わる先行研究をとにかく調べなきゃいけない。旅行とかと同じですね。今度の休みは海外に行こう!って決めたら、とりあえず、ガイドブック買って来るでしょ? それで、ここ行こう!とか考えるでしょ? そのステップが研究にも必要なのです。

この先行研究を調べる、関連する本を探す、っていう作業は結構大変です。とにかく、なんでもかんでも考慮に入れていたら、読まなきゃいけないものだらけになって、デスクが崩れてしまう。よって、必要なものをうまく見分ける能力が必要になります。なんていうんでしょう、googleで検索したらいっぱい見つかった、でも、これだ!ってサイトはちゃんと見つけられた、その時の能力が必要って感じ。見つけられないようでは、研究はやってられません。

文献をある程度読んだら、今度は自分がやる研究の具体的な方法を決めて、準備に入らないといけません。実験であんなことやろうとか、こんな人を対象とした調査をやってみようとか、そういうのを考えないといけないわけですね。方法自体は、研究テーマが決まれば、大体見えるものだと思いますが、実践に移すためには、例えば、実験だったら、場所用意したりとか、いろいろ準備しないといけない。それって結構大変なことなのです。心理学の論文の多くは、大学生が対象となっていることが多いですが、実はそれって、この辺の事情と関係しています。つまり、大学生が一番身近で使いやすい被験者なんですね。そういうことも踏まえたうえで、準備とかしないといけない。

ちなみに、これらの成果は、逐一ゼミを通して発表することが求められますので、本当にちゃんとやらないとまずいです。下手なところで躓いていると、突っ込まれます。

それと、大学院に行こうと思っている方だと、8月は院入試の季節になるでしょうから、それより前には、この準備段階を終えてないとまずいですね。受験勉強とか、しづらくなります。

さて、次のステップが実際の研究活動になります。この活動のリミットは、院入試が終わった後で考えて、遅くても10月。10月までにはやりたいことをやっておかないと、その後の論文書きにめちゃくちゃ影響します。

ちょうどこの10月とか11月くらいには中間発表会が設けられていると思います。ここまでやりました〜、ってことを報告する会ですね。大体この時点で、ある程度結果が出せてないと、やばい。つまり、ここがひとつのリミットです。

さて、論文書きです。レポートは大学生ならよく書くものだと思いますが、論文はその親玉なんてもんじゃなく、ちょっとこう、質の違うものです。

なにしろ、論文書きには様々なルールがある。例えば、文体のルールってのがあるし(終わったことなんだから過去形で書け、なんていう基本的なことから、細かい記号の使い方まで様々)、それどころか、提出のときなんて、印刷の仕方とか、ファイルの閉じ方とか、そういうところにまで事細かなルールが存在します。

そのため、論文書きはその研究室の院生や指導教員がめっちゃくちゃフォローします。フォローというのはいい言葉で、ストレートに言えば、めちゃくちゃ文句をつけます。最初のうちはサインペンで真っ赤になるほど指示が入るのを、だんだんなくしていくのが論文書きの実際です。忍耐強くがんばりましょう。

論文は大体、原稿用紙にして100枚、つまり、4万字くらい求められます。それに、最初からページ構成を考えて書くように言われるのが普通。「第1章は序章で、第2章は本論、第3章は結論で、それぞれ30パーセントずつかなあ」とか、そのくらいアバウトなレベルから入って、めっちゃくちゃ細かい、「なんとかっていうセグメントで10枚」とか、そうやって決めて書く。それが楽なのです。

何度も何度も書き直すうちに、赤が減ってきたら、ゴール目前です。論文には厳格な締切日(何月何日何時まで、みたいな)がありますので、そこに間に合うようにちゃんとやって、きれいに印刷して、ファイルして出す。これ結構重要で、ほんのちょっと遅れた(分単位ですな)だけで、1年留年になっちゃうかもしれないので、この辺しっかりやりましょう。

論文出したら、口頭試問とか、発表会とかが待っております。でもま、論文が書きあがっていれば、大きな山は越えたと言ってよいので、そこら辺はうまく対処して、乗り切ればよし。

卒研は大学生活の総決算ですので、それなりに大変ですが、やればいい経験になるので、出来る限りうまくやって、そして、いい卒業式を迎えられるように、努力しましょう。


[卒業]

大学に4年いて、所定の単位を修得すれば、卒業です。でも、ここではその卒業ではなくて、「卒業」が関係する間の話をしましょう。

卒業というのを意識するのは多分、大学3年の秋から冬にかけてではないでしょうか。なぜなら、この頃から「就職活動」が始まるから。そして、大学院に行こう!と決めた方にとっては、次の夏、秋(場合によってはそのまた次の冬)の入試に向けてそろそろいろいろ考えなきゃなあ、と思う頃だからです。加えて、卒論が必須の学科に進学している場合で、しっかりとしたものを書きたいなんて場合は、もうこのあたりから準備を始めないときついかもだから(学年が変わってからはあっという間。実質研究なんてできないに等しい)。

卒業を意識し始めてから、実際に卒業になるまでの期間はほんとに、光の速さ(30万km/s)ほどの流れのように感じます。ああああ、と言っているうちに月日が流れて、知らぬ間に終わっちゃう。

だから、意識し始めたらすぐにいろいろ行動をはじめなければなりません。

まず、大学を卒業した後どうするかを考える。具体的には就職するか、進学するかを選択することが求められます。

理系だとほとんどの人が進学するのですが、文系は必ずしもそうではなく、多くの場合、就職活動に突入することでしょう。

ここで重要なのは、心理学を学んだ、ということが、就職活動においては何のプラスにもならないということ。つまり、心理学を大学で学んだからといって、心理系の仕事につくことなんてできないし、会社においても特別に評価してもらえるなんてことはまずほとんどないということです。一番最初、決意の段階で、カウンセリングとかを仕事にしたい人は医学に行け、といった理由はここにあります。

実際、心理学専攻の学生のその多くは、専攻とはまったく関係ないところを就職先とすることがほとんどです。これ、重要なことなので、覚えておいてください。

じゃあ、このまま勉強を続けたい、大学院に行きたい、と言い出す人も現れるでしょう。やるだけやってやらあ、という人ね。でも、それも難しいのが現実。

そもそも、大学院は「研究するところ」です。学ぶところではありません。試験も「研究できる人」を選ぶために行われますし、大学院に入ってからの内容も、そういうものです。この詳しい話は「大学院に行こう!」ってののほうで書くつもりですが、きつく言ってしまえば、「お勉強目的の人はまず入れない」のが大学院だと思ってください。

しかも、心理学は今空前の大ブームですので、倍率が非常に高い。臨床系なんて尋常じゃありません。最近話題の「法科大学院」の受験倍率が平均5.3倍(2003年8月:大学入試センター発表)、他の研究科(例えば、工学とかそういうのですね)が大体2〜5倍前後なのに対して、「臨床心理士指定大学院」は最低でも10倍、大人が受けやすい、しかも募集定員が大きい通信制である放送大学大学院に至っては25.6倍!(2004年度院入試結果より)もう「倍率爆発」状態なのです。

もう、軽い気持ちで受験できるようなところじゃないんですよ、大学院ってところは。だから、卒業した後の将来のことを考えるときは、こういうこともぜひ考えておきましょう。

さてさて、あっという間に大学4年に突入してしまうと、ごたごたと忙しくなります。ゼミでの演習、実習をやりつつ、将来に向けての活動をしながら、卒論のための研究をやるという状態になるからです。

卒論の締め切りは大体12月の頭くらいです。4月から考えれば、約8ヶ月。大学生の立場では大規模の研究なんてできないものなので(所属ゼミの先生からテーマをもらって研究するとか、そっちのほうが普通かな)、それなりの研究で終わるのが普通ですが、実際、原稿用紙100枚強の論文を書くには微妙な期間であると思ったほうがよいです。できる限り早い時期から準備することに越したことはない。どうしようもなくぎりぎり締め切り3ヶ月くらい前から取り組むなんて場合は(えてしてあるのです)、相当の大事になると覚悟しましょう。

卒論を提出しても、それで終わりではありません。年が明けて少しすると(具体的には1月の末くらい)、その論文に対する「口頭試問」というのが行われます。数十分間、先生とあれこれやることになります。まあ、それまでにアドバイスをもらいながら書いていくのが普通ですので、とんでもないことでもやらない限り、どうしようもないことを言われたりすることはないと思いますが、「てにをはを直せ」だの、「ここをこう変えろ」だの、いろいろ指示されて、「書き直し」を要求されることは少なくないものです。そうなったら、がんばって書き直そう(大体、大学が休みに入るまでの2週間くらい、時間をくれるでしょうから)。

この口頭試問とか卒論発表会をやったら、大学生活もいよいよ終わり。冬休みが終われば、3月の終わりには卒業式がやってきます。


ここまで原稿用紙約45枚(「秀丸エディタ」原稿用紙換算マクロによる)を使って、「大学絡みのあれこれ」をご紹介してきました。

とりあえず大学生活は自分の目で、耳で、手で、足で楽しむことが求められます。

将来悩みまくりの君も、受験勉強で大変の君も、大学入ってどうかなあと思ってる君も、また大学行こうかなと思っている大人のみんなも。

自分の力で楽しんでいこうぜ!(なぜ、「ぜ」?)

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