カリキュラムの歩み
総合政策学部・環境情報学部は、慶應義塾大学の7・8番目の新しい学部として、三田、日吉、矢上、信濃町に次ぐ5番目の新しいキャンパス・湘南藤沢キャンパス(SFC)と共に1990年に開設されました。多様で複雑な社会に対してテクノロジー、サイエンス、デザイン、ポリシーを連関させながら問題解決をはかる。そのために設立されたのがSFCであり、既存の学問分野を解体し、実践を通して21世紀の実学を作り上げることを常に目指してきました。その原動力ともなる学部カリキュラムは、開設以降現在までに6回にわたってバージョンアップがなされています。2014年4月以降に入学された学生の皆さんに適用されている現在のカリキュラム(14学則=イチヨン学則)はガイダンス、メンター制度の改革なども伴うメジャーバージョンアップとなりました。
ここでは、SFCのカリキュラムの変遷を振り返ってみたいと思います。1990年に開設された総合政策学部、環境情報学部では、開設以来これまでに6つのカリキュラムが存在しました。その一つ一つを概念図とともに簡単にご紹介します。
SFCは1990年に開設されましたが、時代に先駆け、開設当初から現在に至る、自然言語(外国語科目)と人工言語(情報処理)が、そのカリキュラム設計の二本柱となっていました。また、大学設置基準の大綱化(カリキュラム編成の弾力化)を受け、体育科目を必修から外す大学が増えていくのに対し、今日に至る体育科目必修の礎が開設当初から築かれました。今日に続く全学生に研究会の履修を課す流れも開設当初からの基本理念となっています。
第1期生を世の中に送り出し、初めてのカリキュラム改正が行われました。従来、「人文科学」「社会科学」「自然科学」という3系列で一般教育科目と呼ばれていた科目群を見直し、4年間を通じての大学教育の基礎を学ぶものと位置づけ、「環境の中での人間行動」「人間をとりまく時間的・空間的背景」など独自の観点を付け加えてパースペクティブ科目という科目群に再編しました。
現代社会にあふれる様々なデータを正しく取り扱うためには、収集や整理、検索や分析のための技法を身につけることが重要であり、いくつもの分野に広く応用できる共通の基礎知識として、SFCに集う全員が学ぶべきものと位置づけられました。97年のカリキュラム改正では、この点に焦点を当て、データサイエンスという新たな枠組みを構築し、両学部において必修科目としました。
SFCは10年を経て、「現在の教育プログラムが時代に合っているか」「学部と大学院に一体感があるか」「SFC当初の教育理念を体現しているか」という3つの角度からカリキュラムの見直しを図った結果、改革ともいえる大変更を実施し、SFC Version2.0がスタートしました。内容としては、「研究プロジェクトの更なる重視(課題発見解決型の研究スタイル の重視)」「フレキシブルな履修体系(学年別科目・コースの廃止)」「クラスターによる専門領域ナビゲーションシステムの導入」が挙げられます。 ※ クラスターとは、SFCが現在探求している研究領域で、総合政策系、環境情報系、複合系の3分野各5クラスター合計15のクラスターで構成されています。
SFCが誇る自然言語(外国語科目)と人工言語(情報処理)とデータサイエンスを01年カリキュラム(SFC Version2.0)よりバージョンアップしました。すでにデザイン言語については、新しい方向を目指した科目として提供されているため、既存の基盤的な科目群の改革を中心として、SFCがさらに時代の最先端を走るための知的基盤の確立を目指しました。
SFCが掲げる使命は「未来を創る大学」であり、そこで育つ人材を「未来からの留学生」と位置づけました。「未来からの留学生」は、現状に合わせて生きる人間ではなく、自ら未来を切り拓いていく「先導者」です。そして、SFCから旅立つ「先導者」に期待される3つの力「未来を創造する力」、「先端を探求する力」、「自ら学び続ける力」を中心とした科目群の構成、学習計画をサポートするためのメンター制度の導入、卒業プロジェクトの必修を特徴としており、「未来創造カリキュラム」と位置づけられています。
14学則はクラスを基軸に、仲間づくりと学びの可能性をより発展させることに主題が置かれています。クラスで出会った仲間と、外国語、情報技術、データサイエンス、ウェルネスなどの科目を一緒に学び、絆を深め、学びの可能性を発見、再発見できる機会が用意されています。
学年進行はゆるやかで、学年に関係なく、必要な科目を必要な時に履修できます。希望すれば1年生から専門科目を履修することも可能であり、自身の興味関心や研究課題に合わせて学修を進めることができます。
研究会も最速で1年生からの履修が可能で、教員と学生が「対等なパートナー」として研究活動を展開しています。また、多彩な学問領域を有するSFCの授業科目と研究会の結びつきを、研究や授業を構成する諸側面(アスペクト)に分解して「見える化」した「アスペクト」という概念も導入されています。
さらに、大学の4学期制に対応し、短期間に集中的に学修に取り組み、海外留学やフィールドワークを促進する科目配置を行っています。
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス
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? Keio University.