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その他 書評【野生のしっそう─障害、兄、そして人類学とともに】 日常に人類学的な光を当てる 私は大学卒業後に山暮らしを始めた。鶏を飼っており、時々近隣の人たちと老いた鶏をさばく。 『野生のしっそう』で著者は、こうした個人的な出来事を拾い集めていく。兄の“しっそう”を追いながら、身近な生と死を見つめながら、人工と自然の合間を縫いながら、拾い集めたピースを考察し、記録する。私にとって著者は、難解な話をする先生だった。在学中、何か重要な問いを投げかけられていることのみを理解し、問いに対する思考を巡らせた。ときには議論し、ときには場を共有しながら。 この本を通して、著者が日々の出来事に人類学的な光を当ててきた記録は、あらためて私自身を取り巻く環境を思考するヒントを与え、また新たな問いも投げかけてくれるものであった。 高田夏実(2014年社会学科卒) [_書影-19...+] 野生のしっそう─障害、兄、そして人類学とともに 猪瀬浩平(教養教育センター教授) 著 白金通信2024年春号(No.518)掲載 CATEGORY
そして家族だけでは食べきれない鶏肉を、分け合う。時の流れとともに、私自身はできることが増えてきた。一方、私にさまざまなことを教えてくれた人は年老い、ときに亡くなる。そんな中、わが家には新しい命が誕生した。ありふれた日常である。これは、個人的な出来事以外のなんだというのだろう。
ミシマ社 298頁/2,640円
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